心は人生の土台
心というのは、誰もが必ず持っているものであり、人間にとって最も大切な部分だと感じています。その心のあり方によって、人生は幸せにも不幸にもなり得ます。だからこそ、心をどう磨いていくかは、とても大きなテーマなのではないでしょうか。
1. 私利私欲ではなく、相手の気持ちを考える
心を磨くために大切なことのひとつは、自分の利益のためだけに行動しないことです。常に相手の気持ちをしっかり考えて動くこと——これが重要です。「自分が、自分が」という気持ちだけで動いている人の心は、決して磨かれることがありません。
2. 感謝の気持ちを持てるかどうか
感謝ができないということは、人にしてもらったことのありがたみを感じられないということでもあります。どんなに立派な人であっても、たった一人だけで成功を成し遂げた人はいないはずです。必ずどこかで、誰かに支えられているものです。
たとえば夫が出世したとします。それは部下たちのサポートがあったからかもしれませんし、仕事に専念できたのは家族や妻の支えがあったからかもしれません。そうした周囲への感謝を感じられる人と、「自分一人の力だ」と思い込んでしまう人とでは、その先の人生に大きな違いが生まれます。後者のような姿勢を続けていると、周囲から尊敬されることはなく、気づけば周りに誰もいなくなってしまうこともあります。孤独感が続けば、心が沈み、暗いトンネルの中から抜け出せなくなってしまうこともあるでしょう。
そうならないために私が心がけているのは、1日に一度、必ず自分を振り返る時間を持つことです。今日の自分はどうだったか、家族に対してできなかったことはなかったか——完璧に生きられる人などいませんから、5分でも10分でもよいので、今日の自分の良かった点と反省点を振り返る時間を作ってみてください。
同じように、自分自身のご先祖様に感謝できるかどうかも、心を磨くうえで大切な要素です。人は一人だけで生きているわけではありません。今こうして自分がいることに対して、感謝の気持ちを持てるかどうかが問われています。
3. 若いうちの苦労や悩みが心を育てる
母からは「若いうちにたくさん苦労しなさい、たくさん悩みなさい」と言われてきました。今、悩みや辛さを抱えている方も多いと思いますが、その経験から感じたこと、思ったことこそが、心を磨くことにつながっていきます。
「こういうことはしないほうがよかった」「こう言われて嫌だった」——そうした一つひとつの経験が、人と接するときの大きな糧になります。嫌な経験も辛い経験も、「日々勉強させてもらっている」と解釈してみることです。そうすることで、後々大きな自信へとつながっていきます。心の痛みや人の痛みがわかるようになると、自然と自分自身も人に優しくなれるものです。
最近は、子どもに辛い思いをさせないようにと、先回りしてガードしてしまう親御さんも多いようです。しかし、辛い経験や悩んだ経験は、後にバネとなって自分を支えてくれるものですから、必要な経験だといえます。
丸い心を保つために
心には形がないとよく言われますが、たとえるなら「丸い心」が一番良いとされています。丸みを帯びていた心が、すり減ったり歪んだりしてしまうことこそ、最も避けたいことです。いつも心を丸く、大きく、暖かく保っておくことが大切です。
そのためには、良いこと、楽しいこと、美しいものに触れることが役立ちます。一方で、人から嫌なことをされて傷つくこともあるでしょう。しかし、その経験を「自分は人にこういうことをしないでおこう」という学びに変えられれば、それもまた心を養う糧になります。良い経験も悪い経験も、どちらも大切な栄養なのです。
反対に、心が歪んでしまう人には共通点があります。すぐに人のことを妬んだり、自分の失敗を他人のせいにしたりする人です。「自分がこんなに幸せでないのは、あの人のせいだ」というように、常に誰かのせいにしてしまう人は少なくありません。しかし、生まれ育った環境がどうであれ、その先の人生を決めていくのは、最終的に自分自身なのです。自分の心は、自分自身で整えていくしかありません。
おわりに
心というのは、年齢に関係なく、磨けば磨くほど美しくなっていくものです。見た目や体は年月とともに変化し、シワも増え、若いころと同じようにはいかないかもしれません。それでも心だけは、自分次第でいつまでも美しくあり続けられます。
私自身、幼いころから順風満帆だったわけではなく、複雑な家庭環境で育ち、結婚してからも子どものことや夫婦のことで悩まされてきました。そうした経験の積み重ねがあったからこそ、今こうしてお話しできているのだと感じています。
私利私欲のためだけに行動するのではなく、周りの人の気持ちを考えて行動すること。周囲や先祖への感謝を忘れないこと。そして、若いうちにたくさんの苦労や悩みを経験すること。この3つが、心を磨くことにつながっていきます。少しでも皆さんのお役に立てたなら嬉しく思います。